増原メッセージ:(26)さきがけ「光の利用と物質材料・生命機能」第一回発展研究会

さきがけ「光の利用と物質材料・生命機能」第一回発展研究会
「開会のことば」
2015年12月5日
東工大大岡山キャンパス西9号館コラボレーションルームにて

皆さんおはようございます。さきがけは終わったので私も一研究者として参加しており、プロジェクト中のような「頑張れ」というような挨拶はもういたしません。少し気が引けながら出てきましたが、最近の報告をし、感じていることを述べ、挨拶に代えたいと思います。

2月に本さきがけの評価会があり、中桐さんと出席し、プレゼンをしてきました。もちろんその前に足掛け8年間にわたる皆さんの活動成果を報告書にまとめ提出しております。評価は残念ながら、A(優れている)で、私達が信じていたA+(特に優れている)ではありませんでした。論文数の少ない人がいる、特許が多くない、理論研究や振動分光学・テラヘルツなどの分野から研究者が選ばれていないというのが、ベストでない理由と見受けられました。私達は皆さんが最もさきがけらしい活動をしたと思っており、5年後、10年後には、このさきがけは、本当はA+だったねと言われるようになると信じています。

本さきがけの報告書を作成、発送しました。例の佐崎さんのデザインの表紙で、和文はこちらから、英文は反対側からとなっています。これは仮印刷の分で1.04 kgありますが、皆様のお手元に届くのは良い紙を使っているので、少し薄いですが、重さは1.44 kgあります。只今船便で皆様のお宅に向かっております。この発展研究会のためのWEBを開設しました。メーリングリストも整備しました。研究会終了後中桐さんから説明がありますが、このすばらしい40人の仲間の情報交換とコミュニケーションに役立てて、貴重なネットワークを維持発展させてください。情報、ご意見、コメントをお寄せいただければ、掲載いたします。

最近うれしい連絡がありました。
佐藤琢也さん、Sir Martin Wood賞。日本の優れた物性研究者に英国が出すもので、東京の英国大使館で半日セミナーと授賞式があり、佐藤さんが受賞講演をしました。私は呼んでいただいたのですが、腰痛で参加をキャンセルし、佐藤さんには申し訳ないことをしました。
岩倉いずみさん、日本化学会進歩賞。35歳以下の化学会会員が条件で、有望な若手がもらう賞です。私は三度挑戦し、三度とも選に漏れた苦い思い出があります。今の時点では、岩倉さんは昔の増原より、将来有望です。

私達のさきがけと伊藤正先生のCRESTの後継光関係プロジェクトの第一期生が発表になっています。このさきがけからは、北川CRESTに永井さんが、植田さきがけに小笠原さんが採択されています。並行して推進されている光拠点のプロジェクトはあと数年続きますので、注目されている光科学技術の重要な一翼をほんさきがけOBとして担っていただけると期待しています。また光関係ではないですが、志賀さん、西村さんも2回目のさきがけ研究を展開中です。

さて今日の第一回発展研究会においては、さきがけ終了後の皆様の活躍をお聞きできると楽しみにしていまいりました。さらに今日は佐々木敬子、吉原經太郎両ADの貴重なお話を伺えることになっています。傘寿を迎えられ円熟の時にある両先生から、研究、研究生活、人生について伺う大変いい機会となりました。両先生よろしくお願いします。

最後に事後評価会に向けてまとめ提出した最後のフレーズを紹介し、さきがけを終えた私と中桐技術参事の感想をお伝えしておきます。「8年にわたる活動を終える現在、さきがけは今なお研究者のブランドであると強く感じる。1992年以来このさきがけを維持発展させてきたJSTに敬意を表する。今後も時代に応じて、しかし初心忘れず、我が国が世界に誇るこのユニークなプロジェクトを発展させていってほしい。自分の研究を続けあるいは科学技術の将来展開を吟味しながら、若い研究者とコミュニケーションを持つことができた研究総括と技術参事は、研究者人生の醍醐味を味わうことができた。」

私は来年年男になりますが、ますます人生は多様で、幾つになっても新しいチャンスがあると思うようになりました。若い皆様には無限の可能性があります。無限の努力を必要とするでしょうが、さきがけ精神で進んでいっていただきたいと思います。


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