増原メッセージ:(22)光科学技術のイノベーションへの期待

【さきがけ】 「光の利用と物質材 料・生命機能」領域
光科学技術のイノベーションへの期待

 本さきがけは戦略目標を実現するために、既存の光源や最先端の光源を徹底的に使い尽くすこと、全く新しい発想により光の利用で世界トップの成果を挙げることを条件として研究開発を推進してきました。最先端の光源や計測手法などの研究開発とそれらを担う若手人材の育成を図る光拠点プログラムとは、相補完し合うかたちで研究を展開しています。過去7回開催された光拠点シンポジウムにも欠かさず参加し、時には招待講演、時には多数のポスターによりさきがけの成果を発表し、光拠点のメンバーと情報を共有し、今後の展開を語り合ってきました。同じ戦略目標のCRESTとは「進化する光イメージング:百聞はイメージングに如かず」の合同シンポジウムを2回開催しています。我々のさきがけは2015年3月に足かけ8年の研究活動を終え、光の利用について世界に誇れる成果を上げてきました。その代表例として、アト秒時間分解分子軌道イメージング、熱の固有状態の創成と波動制御、ナノサイズ高輝度バイオ光源の開発と応用、X線非線形回析による局所光学応答解析、リモート励起ラマン分光の開発、誘導ラマン顕微鏡による生体組織の可視化、光機能性・制御性タンパク質による細胞・個体操作などがあげられます。光拠点が開発中の新光源や新測定法を導入することにより、これらの研究が更に花開くものと期待しています。

 さきがけ研究者のみなさんの活躍を見ていて、光科学技術がチャーミングな、素晴らしい高いポテンシャルを持つ学問であり技術であることを実感しました。原子物理から医学応用まで、光は科学技術を変えていきます。


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